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日本放送協会会長 海老沢 勝二 殿
NHKの報道に関する 公 開 質 問 状
拝啓 私共は現代情報化社会に於て、マスメディアが国家社会に及ぼす影響に重大な関心を寄せる者であります。就中、税金に等しい受信料で成り立つ公共放送NHKの報道並に報道姿勢に対しては格段の注意を払つて日夜視聴して居りますが、遺憾乍ら、昨今のNHK報道と番組には、視聴者また国民として憂慮に堪へぬ諸点少なしと致しません。これについては、従来様々な手段方法を通じて質疑、批判、提言、要望を表明して来たことは貴殿夙に御承知の通りであります。乍併、これら視聴者の声に対して、NHKが誠実に対応し、公共放送としてあるべき公正な報道姿勢を取戻す努力をして来たとは今に至るも認め難く、斯くてはNHK最高責任者たる貴殿に、失禮を顧みず、公開質問状の形で主として最近の報道につき若干の疑問点を提起し、御回答方要望致す次第であります。 ◇ 〈質問事項〉 (1)本年四月二十八日放送〈NHKスペシャル〉「奇跡の詩人〜十一歳・脳障害児のメッセージ」に関して。 主人公の脳障害児・日木流奈君の発信するメッセージは、実は母親が発信するメッセージではないのかとの疑念が当初から視聴者の間に多く、インターネットに寄せられた「ヤラセ」「インチキ」との声は無慮数万件に達した由である。諸種の週刊誌、月刊誌もこの問題を取上げ、単行本まで出版された。中村も月刊誌『正論』連載「NHKウォッチング」で数回に亙つて(本年七、八、九、十月号)取上げ、批判と提言を行つた。 これにつき貴殿は現場に対して「今後も取材を続けるやうに」指示したさうであるが(『文藝春秋』本年八月号三四七頁)、 a. その後の「取材」の結果はどうであつたのか。b. 「障害児のメッセージ発信」に「ヤラセ」「インチキ」はなかつたのか。もしなかつたのであれば、視聴者の疑念と不信を払拭するために再度検証放送を行ふのがNHK放送への信頼を回復する途ではないのか。同時にそれは障害児流奈君とその家族の名誉と人権を守る結果にもなるのではないか。c. 「障害児のメッセージ発信」に「ヤラセ」や「インチキ」があつたのであれば、潔く過ちを認めてテレビで視聴者に対し謝罪すべきではないのか。平素、企業の不良製品販売を厳しく糾弾して已まないNHKであれば、尚更さうすべきではないか。 (2)本年五月二十六日の「第六十九回日本ダービー」中継放送に関して。 開会式で国歌「君が代」の独唱が流れる間中、NHKカメラはパドックで足慣らしをする出場馬の尻を写し続けてゐたことは中村が『正論』八月号で批判的に取上げ、月刊『テーミス』九月号もこの追跡記事を掲載してゐる。他に写すべき人・物・情景は幾らでもあるのに、何故国歌に合はせてわざわざ「馬の尻」を放送したのか。 平成十年「第六十五回日本ダービー」中継放送の時にも、国歌吹奏の時に別の音声と画像を流して「君が代隠し」を行つたこと(『正論』平成十年八月号「NHKウォッチング」)を考へ合はせると、NHKの国歌冒涜放送は意図的であるとしか考へられない。これについて会長の説明と所見を承りたい。 (3)国旗国歌の放送に関して。 二十四時間放送に移行したのを機(好機?)として、NHKは国旗国歌の放送を中止したが、主権国家日本の公共放送として、適当な放送時間の区切りに国旗国歌を放送するのが相応しいと考へるが、どうか。殊に国の祝日には国旗国歌の放送をきちんと行ふのが有意義な国民儀礼と信ずるがNHKの考へはどうか。 (4)北朝鮮を「朝鮮民主主義人民共和国」と云ひ替へることに関して。 NHKはなぜ、世界諸国の中で、国交もなく、我国に対して犯罪まで犯してきた北朝鮮だけを毎回「朝鮮民主主義人民共和国」と正式国号で云ひ替へるのか。これは北朝鮮の強要に屈服した結果なのであるか。「民主主義」や「人民共和」の理念も実体も存在しない専制国家北朝鮮に対してだけ、他の国々とは区別して特別な配慮を施し、「民主主義人民共和国」の名を冠して云ひ直すことに、NHKは何の矛盾も疚しさも感じないのか。此度成立した拉致被害者支援法も「朝鮮民主主義人民共和国」の名称は使はず「北朝鮮」とのみ表記してある。わが国民感情からもかけ離れたこの云ひ替へは即刻廃止すべきと考へるが、所見をお伺ひしたい。 (5)北朝鮮の拉致犯罪に関して 小泉訪朝(平成十四年九月十七日)以後、漸くNHKはこの問題を報道するやうになつてきたが、それ以前NHKには「拉致疑惑」「いわゆる拉致事件」などの表現で、あたかも拉致の存在を疑ふかの如き報道を行ひ、事件発生以来四半世紀に亙つてこの重大な人道問題を殊更に無視し続けてきた。もしNHKが早くから事件を報道し、内外世論の喚起に努めてゐたならば、事件はもつと早期に、より好ましい形で解決してゐたかも知れない。この点に関する公共放送NHKの責任をどのやうに考へてゐるのか。 (6)教育番組に関して。 行き過ぎた「ゆとり教育」の弊害が指摘され、基礎学力充実や愛国心涵養の必要が叫ばれる中、NHKの教育番組は依然として「ゆとり」「自由放任」「反日」に偏した放送を改めず、我国の教育の改善向上よりは、学校嫌ひ、学力低下、学校崩壊を陰に助長するかの如くである。へ、公序良俗に挑戦する思想で生徒を洗脳する教育を提唱する人物(東京・杉並区の藤原和博氏はその一例)を繰返し教育番組に登場させる(平成十四年五月二十七日〈にんげんゆうゆう〉、十一月四日〈教育フェア二〇〇二〉)に至つては、NHK教育放送の狙ひは日本の教育の崩壊と日本国家の解体にあるとしか思はれない(月刊誌『正論』平成十四年九月号、平成十五年一月号「NHKウォッチング」)。斯かる危険極まる反国家放送は即刻停止すべきであると考へるが、NHKの見解如何。 (7)皇室関連の報道に関して。 従来よりNHKの皇室報道には当然の敬意が欠けてゐるとの批判がある。その端的な例は敬語の疎略あるいは省略である。「皇太子殿下」を「皇太子さま」、「御懐妊」を「懐妊」、「お墓」を「墓」、「御葬儀」を「葬儀」、「○○され」を「○○し」等々、親しい知己同士でさへ自然に敬語を使ふところにさへ、皇室に関しては不自然に敬語を省略した放送をしてきた。甚だ耳障りで、意図的に皇室を軽視嘲笑してゐるのかとも疑ひたくなる。NHKは皇室を庶民と同等あるいはそれ以下の存在として遇することが民主主義であるとの思想的見地から、斯かる放送をしてゐるのか。NHKの天皇、皇室観をも含めて見解を伺ひたい。 (8)戦争・歴史番組に関して。 NHKが最も批判されてきたのは戦争・歴史に関する報道と番組に関してであらう。NHK報道は日本の近代史を殊更に醜悪に描き、近代に於ける我国の対外行動を侵略一色の如く紹介してきたが、斯様に一面的で偏向した戦争・歴史報道を是正する用意はないのか。 (9)南京事件に関して。 平成七年三月三日、偏向報道に抗議して私共がNHK視聴者センターへ赴き談判した際、NHK側は「南京の虐殺数は三十七万人がNHKの公式見解である」と発言し、一同唖然としたが、この三十七万人虐殺といふ認識は今も変つてはゐないのか、お尋ねする。またこの事件について、従来の如く中国側あるいは大虐殺派の見解のみならず、批判派の見解をも報道してゆく気持があるかどうか、お伺ひする。 ◇ 以上九項目につき、海老沢会長の責任ある御回答を要望するものであります。乍勝手、回答は本状送達の日より起算して十日以内に御願ひ致し度く、誠意ある対応を強く期待致して居ります。 平成 十四 年 十二 月 十二 日(代表質問者)NHK報道を考へる会代表 獨協大学教授 中村 粲 NHKに物申す市民ネットワーク代表 小林 幸子 神奈川大学教授 小山 和伸 日本会議東京都杉並支部長 和田 昭 NHK報道から子供達を守る会代表 松浦 芳子 弁護士 高池 勝彦 弁護士 南出喜久治 弁護士 稲田 朋美 |